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フリーランス薬剤師のリアルな仕事内容と年収、安定を目指す副業戦略

※本記事は、転職エージェント(マイナビ、リクルート、ファルマスタッフ等)のプロモーションを含みます。

フリーランス薬剤師という働き方に興味はありませんか?本記事では、具体的な仕事内容や年収、派遣・正社員との違いを徹底解説します。高時給で自由な働き方が魅力ですが、収入の不安定さが課題。しかし、戦略的な仕事選びと副業を組み合わせることで、年収1000万円を目指しつつ安定した生活も可能です。未経験から目指す方法からおすすめの副業まで、フリーランス薬剤師として成功する秘訣を具体的にお伝えします。

フリーランス薬剤師とは 派遣や正社員との違いを解説

近年、働き方の多様化が進む中で「フリーランス薬剤師」という選択肢が注目を集めています。特定の組織に縛られず、自身の専門知識やスキルを活かして柔軟に働けるスタイルは、多くの薬剤師にとって魅力的に映るでしょう。しかし、その実態や、一般的な「派遣薬剤師」あるいは「正社員・パート薬剤師」と何が違うのか、正確に理解している方はまだ少ないかもしれません。

この章では、フリーランス薬剤師の基本的な定義から、混同されがちな派遣薬剤師、そして最も一般的な正社員やパートといった働き方との違いを、契約形態や働き方の自由度、社会保障などの観点から詳しく解説します。ご自身のキャリアプランを考える上で、ぜひ参考にしてください。

フリーランス薬剤師の働き方と契約形態

フリーランス薬剤師とは、特定の企業や薬局に雇用されるのではなく、「個人事業主」として独立し、業務単位で契約を結んで働く薬剤師のことを指します。正社員やパート、派遣社員のように会社と「雇用契約」を結ぶのではなく、クライアントとなる薬局や企業と対等な立場で「業務委託契約」を締結するのが大きな特徴です。

この契約形態により、フリーランス薬剤師は勤務時間や日数、業務内容などを自らの裁量で交渉・決定できます。例えば、「週3日だけ調剤業務を行う」「特定の期間だけ在宅医療の立ち上げをサポートする」「新薬に関する資料作成を請け負う」といったように、自身のスキルやライフスタイルに合わせて柔軟な働き方を実現できます。ただし、個人事業主であるため、仕事の受注から請求、確定申告といった事務作業もすべて自分で行う必要があります。

派遣薬剤師との違い

フリーランスと派遣は、どちらも期間を定めて働く点で似ていますが、その仕組みは根本的に異なります。最も大きな違いは「契約関係」です。派遣薬剤師は、まず派遣会社と雇用契約を結びます。そして、派遣会社が紹介する薬局や病院(派遣先)で業務を行いますが、給与の支払いや社会保険の手続きはすべて雇用主である派遣会社が行います。

一方、フリーランス薬剤師は、間に派遣会社を挟まず、業務を依頼する薬局や企業と直接、業務委託契約を結びます。この違いが、指揮命令権や報酬の受け取り方、福利厚生の有無に影響します。以下の表で具体的な違いを確認してみましょう。

項目 フリーランス薬剤師 派遣薬剤師
契約形態 薬局・企業と直接「業務委託契約」を結ぶ(個人事業主) 「派遣会社」と雇用契約を結ぶ(派遣会社の従業員)
指揮命令権 なし(契約内容に基づき、対等な立場で業務を遂行) あり(派遣先の指示に従って業務を行う)
報酬・給与 業務委託料(報酬)として受け取る。自身で請求・管理する。 派遣会社から給与として支払われる。
社会保険・福利厚生 なし(国民健康保険・国民年金に自身で加入) あり(派遣会社の社会保険に加入。福利厚生も利用可能)
確定申告 原則として必要(事業所得として申告) 原則として不要(派遣会社が年末調整を行う)
仕事の探し方 自身で営業、人脈、フリーランス向けエージェントを利用 派遣会社に登録し、仕事の紹介を待つ

正社員やパート薬剤師との違い

正社員やパート薬剤師は、薬局や病院、企業と直接「雇用契約」を結び、その組織の一員として働きます。この「雇用」という関係性が、フリーランスとの最大の違いです。雇用契約の下では、労働基準法によって労働者としての権利が保護され、安定した給与や充実した福利厚生が保証されます。その代わり、勤務地や勤務時間、業務内容については、会社の指揮命令に従う必要があります。

フリーランスは、こうした組織のルールに縛られず、高い自由度を享受できる反面、収入の不安定さや社会保障を手厚くする必要があるといった側面も持ち合わせています。どちらが良い・悪いではなく、ご自身が何を重視するかによって最適な働き方は異なります。

項目 フリーランス薬剤師 正社員・パート薬剤師
契約形態 業務委託契約 雇用契約
働き方の自由度 高い(働く場所・時間・内容を自分で選べる) 低い(会社の規定や指示に従う)
収入の安定性 低い(案件の有無に左右される。ボーナス・退職金なし) 高い(月給制などで安定。賞与や昇給、退職金制度あり)
福利厚生 なし(すべて自己負担) あり(社会保険完備、住宅手当、研修制度など)
社会的信用 やや低い傾向(ローン審査などで不利になる場合も) 高い
責任の範囲 契約内容に基づく専門家としての成果責任 会社の指揮命令下での業務遂行責任

フリーランス薬剤師の具体的な仕事内容

フリーランス薬剤師の仕事内容は、勤務する場所や契約内容によって多岐にわたります。調剤薬局やドラッグストアでの調剤業務が最も一般的ですが、病院や企業、さらには在宅で専門知識を活かす働き方もあります。ここでは、フリーランス薬剤師が活躍する主なフィールドと、それぞれの具体的な仕事内容を詳しく解説します。

調剤薬局やドラッグストアでの仕事内容

フリーランス薬剤師の最も代表的な働き方が、調剤薬局やドラッグストア(調剤併設型)での勤務です。人手不足の解消や、産休・育休に入る薬剤師の代替要員として、単発(スポット)から長期まで様々な期間で募集があります。即戦力としてのスキルが求められるため、調剤経験は必須です。

調剤業務と服薬指導

薬局における中心的な業務は、処方箋に基づく調剤と患者様への服薬指導です。正社員やパートの薬剤師と業務内容は基本的に同じですが、フリーランスは特定の業務に特化して依頼されることもあります。

特に、小児科、精神科、がん専門など、特定の領域に特化した薬局では、その分野での深い知識と経験を持つフリーランス薬剤師が重宝されます。

在宅医療への関わり

高齢化社会の進展に伴い、在宅医療に力を入れる薬局が増えており、フリーランス薬剤師が関わる機会も増加しています。在宅医療では、薬局内での業務とは異なるスキルが求められます。

病院薬剤師としての仕事内容

調剤薬局に比べると求人数は少ないものの、病院で働くフリーランス薬剤師も存在します。特に、産休・育休の代替や、急な欠員補充として募集されることがあります。病院薬剤師の業務は多岐にわたり、より専門的な知識とチーム医療への適応能力が求められます。

がん専門薬剤師や感染制御専門薬剤師などの専門資格を持っていると、より有利な条件で仕事を見つけやすくなります。

企業で求められる仕事内容

臨床現場を離れ、製薬会社やCRO(医薬品開発業務受託機関)、CSO(医薬品販売業務受託機関)などで働くフリーランス薬剤師もいます。これらの仕事は業務委託契約として結ばれることが多く、高い専門性が求められます。

医薬品情報(DI)や学術業務

製薬会社の学術部門やDI部門で、専門知識を活かして働くスタイルです。リモートワークが可能な案件もあります。

治験関連業務(CRA CRCなど)

新薬開発のプロセスである「治験」に関わる仕事です。CRAとCRCは混同されがちですが、立場と役割が異なります。豊富な臨床経験や治験の知識が必要とされ、高収入が期待できる分野です。

役職 正式名称 主な所属 主な業務内容
CRA 臨床開発モニター
(Clinical Research Associate)
製薬会社、CRO 治験がGCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)や実施計画書に従って適切に行われているかを、医療機関を訪問して監視(モニタリング)する。
CRC 治験コーディネーター
(Clinical Research Coordinator)
病院・クリニック(SMO所属も含む) 医療機関側で、治験責任医師の指示のもと、被験者への説明補助、スケジュール管理、検査データの収集・管理など、治験業務を円滑に進めるための調整役を担う。

フリーランスとしては、特に経験豊富なCRA(コントラクトCRA)の需要が高い傾向にあります。

薬剤師資格を活かせるその他の仕事

調剤や治験以外にも、薬剤師の専門知識と経験を活かせるユニークな仕事があります。これらは副業として始めることも可能で、将来的な独立も視野に入れられる働き方です。

メディカルライター

医薬品や医療に関する専門的な文章を作成する仕事です。正確な知識と高いライティングスキルが求められます。

薬事コンサルタント

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器などを製造・販売したい企業に対して、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に基づいた専門的なアドバイスを行う仕事です。

製薬会社での薬事業務経験者が独立するケースが多く、非常に高度な専門性が求められる仕事です。

気になるフリーランス薬剤師の年収と時給相場

フリーランス薬剤師を目指す上で、最も関心の高いテーマが「収入」ではないでしょうか。働き方の自由度と並んで、高収入が期待できる点はフリーランスの大きな魅力です。しかし、その一方で「収入が不安定なのでは?」「正社員と比べて手取りはどうなるの?」といった疑問もつきものです。この章では、フリーランス薬剤師の年収や時給のリアルな相場、正社員との違い、そして収入を最大化するための戦略について、税金や社会保険の話も交えながら詳しく解説します。

正社員と比較したフリーランスの年収

フリーランス薬剤師の年収は、働き方次第で大きく変動しますが、一般的に正社員よりも高い収入を得られる可能性があります。正社員薬剤師の平均年収が約580万円前後であるのに対し、フリーランス薬剤師は年収600万円〜800万円程度を一つの目安とすることができ、中には年収1000万円を超える人も少なくありません。

ただし、注意すべきは「額面年収」と「手取り年収」の違いです。フリーランスは、会社員のように給与から天引きされるのではなく、受け取った報酬から自分で国民健康保険料、国民年金保険料、税金などを支払う必要があります。また、事業に必要な経費も自己負担です。そのため、額面の高さだけで判断するのではなく、これらの支出を差し引いた手取り額で比較することが重要です。

正社員とフリーランス薬剤師の年収構造の違い

項目 正社員薬剤師 フリーランス薬剤師
年収の目安 約450万円~700万円 約600万円~1000万円以上
社会保険 健康保険・厚生年金(会社と折半) 国民健康保険・国民年金(全額自己負担)
税金の支払い 会社が年末調整で対応 自分で確定申告を行う
経費 交通費など一部支給あり 研修費、交通費、賠償責任保険料など全額自己負担(経費計上可能)
手取り額の考え方 額面給与 − (社会保険料 + 所得税 + 住民税) 報酬 − (経費 + 社会保険料 + 所得税 + 住民税 + 消費税など)

このように、フリーランスは収入が高い分、自己管理が求められます。特に社会保険料は全額自己負担となるため、正社員時代よりも負担額が大きくなることを念頭に置いておきましょう。

仕事内容や地域で変わる時給のリアル

フリーランス薬剤師の報酬は、時給換算で提示されることが多く、その相場は一般的に3,000円〜4,500円程度です。これは派遣薬剤師の時給(2,500円〜3,500円程度)と比較しても高い水準にあります。この時給は、勤務地や業務内容、求められる専門性によって大きく変動します。

地域による時給差

薬剤師の需給バランスは地域によって異なり、それが時給に直接反映されます。

業務内容による時給差

担当する業務の専門性も時給を左右する重要な要素です。

フリーランス薬剤師が年収1000万円を目指すには

フリーランスとして年収1000万円を達成するのは決して簡単ではありませんが、戦略的にキャリアを築くことで十分に可能です。以下のポイントを意識してみましょう。

  1. 高単価案件を狙う
    時給の高い案件を継続的に獲得することが最も重要です。そのためには、認定薬剤師や専門薬剤師の資格を取得したり、在宅医療や無菌調剤といった今後需要が高まる分野での経験を積んだりして、自身の市場価値を高める努力が不可欠です。また、薬剤師が不足している地方へ期間限定で赴く「応援薬剤師」のような働き方も、高収入に直結します。
  2. 稼働率を最大化する
    高時給でも、仕事がなければ収入はゼロです。単発やスポットの仕事を組み合わせたり、複数のエージェントに登録して常に案件情報を得られる状態にしたりと、仕事の空白期間をなくす工夫が求められます。長期契約と短期契約をバランス良く組み合わせることで、収入の安定化と最大化の両立を図れます。
  3. 付加価値を提供する
    単に処方箋通りに調剤するだけでなく、薬局の課題解決に貢献できる薬剤師は重宝されます。例えば、後輩薬剤師の教育、在庫管理システムの改善提案、OTC医薬品の販売促進など、契約内容以上の価値を提供することで、クライアントからの信頼を得て、契約更新や単価交渉を有利に進めることができます。
  4. 薬剤師業務以外の収入源を確保する
    メディカルライターや薬事コンサルタント、セミナー講師といった、薬剤師の知識を活かせる副業を組み合わせることで、収入の柱を複数持つことができます。これにより、万が一メインの契約が終了しても収入が途絶えるリスクを軽減でき、年収1000万円達成の確度が高まります。

忘れてはいけない確定申告と税金の話

フリーランスになると、会社員時代の年末調整に代わり、自分で「確定申告」を行う義務が生じます。これは1年間の所得(売上から経費を引いたもの)を計算し、それに対する所得税額を申告・納税する手続きです。これを怠るとペナルティが課されるため、必ず行わなければなりません。

経費として計上できるもの

フリーランスのメリットの一つは、事業活動にかかった費用を「経費」として計上できることです。経費を正しく計上することで、課税対象となる所得を圧縮し、節税につなげることができます。薬剤師の場合、以下のようなものが経費として認められる可能性があります。

日頃から領収書やレシートを保管し、帳簿付けを行う習慣を身につけましょう。

青色申告で節税効果を高める

確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。青色申告は、複式簿記での記帳が必要など手間はかかりますが、最大65万円の「青色申告特別控除」を受けられるなど、大きな節税メリットがあります。フリーランスとして本格的に活動するなら、開業届と合わせて「青色申告承認申請書」を税務署に提出し、青色申告を行うことを強くおすすめします。iDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済といった制度も、将来への備えと節税を両立できるため、積極的に活用を検討しましょう。

フリーランス薬剤師として働くメリットとデメリット

フリーランス薬剤師という働き方は、高収入や自由な時間を手に入れられる可能性がある一方で、会社員とは異なるリスクや責任も伴います。ここでは、フリーランス薬剤師として働くことのメリットとデメリットを具体的に掘り下げて解説します。ご自身のキャリアプランやライフスタイルと照らし合わせながら、最適な働き方を見つけるための判断材料にしてください。

フリーランス薬剤師の5つのメリット

まずは、多くの薬剤師がフリーランスという道を選ぶ魅力、つまりメリットから見ていきましょう。収入面から働き方の自由度まで、主に5つの大きな利点が挙げられます。

高時給で年収アップが期待できる

フリーランス薬剤師の最大のメリットは、収入の高さです。一般的に、正社員やパート薬剤師と比較して時給が高く設定されています。これは、雇用主側が社会保険料や福利厚生費、ボーナスなどを負担する必要がない分、その費用を報酬として還元しやすいためです。時給相場は地域や業務内容、求められるスキルによって変動しますが、3,500円から4,500円程度、繁忙期や専門性の高い案件では時給5,000円以上になることも珍しくありません。効率的に案件をこなせば、正社員時代を大きく上回る年収を実現することも可能です。

働く時間や場所を自由に選べる

「週3日だけ働きたい」「午前中のみ」「1ヶ月間集中して働き、翌月は長期休暇を取る」といった、柔軟な働き方ができるのもフリーランスの大きな魅力です。自身のライフステージや価値観に合わせて、仕事量やスケジュールをコントロールできます。また、働く場所も一つの職場に縛られません。複数の薬局を掛け持ちしたり、期間限定で地方の応援薬剤師として働いたりと、様々な環境で経験を積むことができます。

人間関係のストレスが少ない

多くの職場では、人間関係がストレスの原因になることがあります。フリーランス薬剤師は、特定の職場に長期間所属するわけではないため、職場の派閥や複雑な人間関係から距離を置くことができます。契約期間が決まっているスポットや短期の案件が多いため、割り切った関係を築きやすく、業務そのものに集中しやすい環境が手に入ります。もちろん、円滑な業務遂行のためのコミュニケーションは必須ですが、過度な人間関係の悩みからは解放される傾向にあります。

幅広い経験とスキルが身につく

様々な薬局や病院、企業で働くことで、多種多様な経験を積むことができます。店舗ごとに異なる処方内容、レセコンや電子薬歴のシステム、在庫管理の方法、そして地域ごとの患者層など、一つの職場にいては得られない幅広い知識と対応力が身につきます。例えば、最先端の医療を提供する門前薬局から、在宅医療に力を入れる地域密着型の薬局まで経験することで、薬剤師としての総合力を飛躍的に高めることができるでしょう。これらの経験は、自身のキャリアを考える上で大きな財産となります。

プライベートとの両立がしやすい

働く時間を自分で決められるため、ワークライフバランスを実現しやすい点も大きなメリットです。趣味や自己投資、家族と過ごす時間を十分に確保したり、育児や介護と仕事を両立させたりと、プライベートを重視した働き方が可能になります。正社員のように会社の都合で残業や休日出勤が発生することも基本的にないため、心身ともにゆとりのある生活を送りやすいと言えるでしょう。

知っておくべき3つのデメリット

魅力的なメリットがある一方で、フリーランスには会社員という安定した立場を手放すことによるデメリットも存在します。契約を結ぶ前に、これらの点を必ず理解しておきましょう。

収入が不安定になりやすい

高収入が期待できる反面、収入は不安定になりがちです。案件が途切れてしまえば、その期間の収入はゼロになります。特に、インフルエンザの流行期など特定のシーズンに仕事が集中し、閑散期には案件が減るという波もあります。また、病気や怪我で働けなくなった場合の収入保障もありません。常に次の仕事を探し続ける必要があり、安定した収入を得るためには、計画的な案件獲得と自己管理が不可欠です。ボーナスや退職金がないことも念頭に置いておく必要があります。

社会的信用や福利厚生の問題

フリーランスは会社員と比較して、社会的な信用が得にくい側面があります。特に、住宅ローンや自動車ローンなどの高額な融資審査では、収入の不安定さから不利になるケースが少なくありません。また、会社員であれば当たり前に受けられる福利厚生が一切ないことも大きな違いです。健康保険や年金、各種手当について、正社員との違いを下の表で確認しておきましょう。

項目 フリーランス薬剤師 正社員薬剤師
健康保険 国民健康保険に自身で加入(全額自己負担) 会社の健康保険組合などに加入(会社が半額負担)
年金 国民年金に自身で加入(第1号被保険者) 国民年金+厚生年金に加入(会社が半額負担)
雇用保険・労災保険 原則として加入できない 加入対象となる
福利厚生 なし(住宅手当、家族手当、退職金など) 会社の規定に応じた福利厚生が受けられる
有給休暇 なし 労働基準法に基づき付与される
社会的信用 ローンやクレジットカードの審査で不利になる場合がある 安定した収入があると見なされ、審査で有利

仕事を自分で探す必要がある

会社員であれば会社が仕事を用意してくれますが、フリーランスは自ら仕事を探し、獲得しなければなりません。薬剤師専門のエージェントに登録したり、人脈を活用したりと、常にアンテナを張り巡らせておく必要があります。また、契約内容の交渉や条件の確認、請求書の発行、そして年に一度の確定申告といった事務作業もすべて自分で行う責任があります。薬剤師としての専門スキルだけでなく、営業力や交渉力、経理の知識といったセルフマネジメント能力が強く求められる働き方です。

未経験からフリーランス薬剤師になるための方法

フリーランス薬剤師という働き方に魅力を感じても、「自分にもなれるだろうか」「何から始めればいいかわからない」と不安に思う方も多いでしょう。ここで言う「未経験」とは、フリーランスとしての働き方が未経験という意味であり、薬剤師としての実務経験は不可欠です。薬剤師資格を取得したばかりの実務未経験者が、いきなりフリーランスとして活動するのは現実的ではありません。ここでは、一定の実務経験を積んだ薬剤師が、フリーランスへとステップアップするための具体的な方法を解説します。

求められる経験年数とスキルセット

フリーランス薬剤師として安定して仕事を得るためには、クライアントである薬局や企業から「即戦力」として認められる必要があります。そのためには、一定レベルの経験とスキルが求められます。

一般的に、フリーランス薬剤師の求人では「調剤経験3年以上」が一つの目安とされています。これは、一人で一通りの調剤業務(処方箋監査、疑義照会、調剤、鑑査、服薬指導、薬歴管理)を滞りなくこなせるレベルが求められるためです。特に、人員が不足している現場にスポットで入ることが多いため、指導を受けなくても自律的に業務を遂行できる能力が必須となります。

経験年数に加えて、以下のようなスキルセットがあると、より高単価な案件や多様な仕事の選択肢が広がります。

これらのスキルは、自身の市場価値を高め、クライアントからの信頼を得るための重要な武器となります。まずは正社員やパートとして勤務しながら、意識的にこれらの経験を積むことがフリーランスへの近道と言えるでしょう。

開業届などの必要な手続き

フリーランス薬剤師として活動するということは、個人事業主になることを意味します。会社員とは異なり、自身で事業を開始するための手続きや、税金・社会保険の手続きを行う必要があります。主に必要となる手続きは以下の通りです。

フリーランスになるための主な手続き一覧

手続きの種類 提出書類 提出先 提出期限・タイミング
開業手続き 個人事業の開業・廃業等届出書(開業届) 納税地を所轄する税務署 事業を開始した日から1ヶ月以内
節税対策 所得税の青色申告承認申請書 納税地を所轄する税務署 原則、開業日から2ヶ月以内
健康保険 国民健康保険への加入手続き 住所地の市区町村役場 退職日の翌日から14日以内
年金 国民年金への切り替え手続き 住所地の市区町村役場 退職日の翌日から14日以内

特に「青色申告承認申請書」の提出は重要です。これを提出することで、最大65万円の特別控除が受けられるなど、大きな節税効果が期待できます。開業届と同時に提出することを強くお勧めします。

また、会社員時代は給与から天引きされていた健康保険や年金も、自身で納付する必要が出てきます。退職後は速やかに市区町村の役場で切り替え手続きを行いましょう。さらに、万が一の医療過誤に備え、個人で「薬剤師賠償責任保険」に加入しておくことは、フリーランスとして働く上で必須のリスク管理です。

仕事の探し方 おすすめのエージェントや求人サイト

フリーランス薬剤師が仕事を探す最も一般的な方法は、薬剤師専門のエージェントや求人サイトを活用することです。エージェントを利用することで、非公開の好条件案件を紹介してもらえたり、面倒な条件交渉や契約手続きを代行してもらえたりと、多くのメリットがあります。自分の希望する働き方に合わせて、複数のエージェントに登録し、情報収集するのが効率的です。

単発やスポット案件に強いエージェント

「1日だけ」「週に2〜3日」といった柔軟な働き方を希望する場合、単発・スポット案件に特化したエージェントが便利です。急な欠員補充などの求人が多く、時給が高めに設定されている傾向があります。

長期の業務委託案件を探す方法

数ヶ月から1年単位で特定の薬局や企業と契約し、安定した収入を得たい場合は、長期の業務委託案件を探しましょう。これらの案件は、正社員に近い形で業務に深く関わることができ、安定性とフリーランスの自由度を両立させやすい働き方です。

長期案件を探す場合も、まずは上記のような大手エージェントに相談するのが王道です。担当コンサルタントに自身のスキルや経験、希望条件を詳細に伝えることで、最適なマッチングが期待できます。将来的には、これまでの勤務先や人脈を通じて直接仕事の依頼を受ける(リファラル)という道も開けてくるでしょう。

収入を安定させるフリーランス薬剤師の副業戦略

フリーランス薬剤師は高時給で自由な働き方ができる一方、案件が途切れた際のリスクなど収入が不安定になりがちという側面も持ち合わせています。そのリスクをヘッジし、収入の柱を複数持つために有効なのが「副業」です。薬剤師としての専門知識や経験を活かせる副業は多岐にわたり、収入アップだけでなく、新たなスキル獲得やキャリアの可能性を広げることにも繋がります。ここでは、収入を安定させ、さらに飛躍するための具体的な副業戦略について解説します。

薬剤師の知識を活かせるおすすめ副業5選

薬剤師の資格や臨床経験は、調剤業務以外にも様々な分野で価値を発揮します。ここでは、在宅で始めやすいものから専門性を活かせるものまで、フリーランス薬剤師におすすめの副業を5つ厳選してご紹介します。

Webライターや記事監修

医療・健康分野のWebメディアや製薬会社の公式サイト、クリニックのブログなどで、専門的な記事を執筆したり、既存の記事内容に誤りがないか監修したりする仕事です。一般の方向けに分かりやすく情報を伝える力と、薬機法や医療広告ガイドラインを遵守する正確な知識が求められます。

パソコン一台あれば在宅で、自分のスケジュールに合わせて作業できるため、フリーランスの働き方と非常に相性が良い副業です。クラウドソーシングサイトの「クラウドワークス」や「ランサーズ」で案件を探したり、医療系に特化したライターエージェントに登録したりして仕事を始めるのが一般的です。報酬は文字単価や記事単価で設定され、専門性が高いほど高単価を狙えます。

オンライン服薬指導や健康相談

2020年の薬機法改正により、一定の条件下でオンライン服薬指導が可能になりました。この流れを受け、オンライン服薬指導システムを導入する薬局が増えており、業務委託で指導を担当する薬剤師の需要があります。また、「LINEヘルスケア」のような健康相談プラットフォームに専門家として登録し、ユーザーからの健康や薬に関する相談にチャットやビデオ通話で応える仕事も人気です。

本業の合間のスキマ時間を有効活用でき、完全在宅で完結するのが大きなメリットです。患者さんや相談者と直接コミュニケーションをとるため、服薬指導の経験や対人スキルを直接活かすことができます。

ブログやSNSでの情報発信

自身のブログやX(旧Twitter)、InstagramなどのSNSアカウントを育て、情報発信を通じて収益を得る方法です。薬剤師の視点から、一般の方にも役立つ薬の知識、セルフメディケーション、健康維持の方法、あるいは薬剤師のキャリアに関する情報を発信します。

収益化の方法は、Google AdSenseなどのクリック報酬型広告、特定の商品やサービスを紹介するアフィリエイト(ASPへの登録が必要)、企業からのPR案件、noteなどでの有料コンテンツ販売など多岐にわたります。すぐに大きな収益に繋がるわけではありませんが、継続することで自身のファンがつき、安定した収入源となる「資産」に育つ可能性があります。自身のブランディングにも繋がり、セミナー講師や執筆といった他の仕事に繋がることもあります。

セミナー講師

地域住民向けの健康サポートイベント、介護施設での服薬指導勉強会、他の医療従事者や薬学生向けの研修会などで講師として登壇する仕事です。テーマは「お薬の正しい飲み方・使い方」「ポリファーマシー対策」「最新の治療薬情報」など、自身の得意分野や経験に合わせて設定できます。

高い専門性が求められる分、短時間で高単価の報酬が期待できるのが魅力です。人前で話すスキルやプレゼンテーション能力が向上し、自身の専門家としての信頼性を高めることにも繋がります。地域の薬剤師会や自治体、セミナー企画会社からの依頼のほか、自身のSNSなどで告知して自主開催することも可能です。

医薬品開発業務受託機関(CRO)での副業

治験や臨床開発の分野でCRA(臨床開発モニター)やCRC(治験コーディネーター)としての実務経験がある場合、その専門知識を活かして副業が可能です。具体的には、モニタリング業務の一部をスポットで請け負ったり、安全性情報の評価、治験関連文書の作成やQC(品質管理)チェックなどを業務委託で担当したりします。

非常に専門性が高く、経験者でなければ難しい業務が多いため、報酬も高額になる傾向があります。CRO業界に特化したエージェントや、以前の勤務先からの人脈を通じて案件を探すのが一般的です。臨床現場とは異なる視点から医薬品開発に貢献できる、やりがいのある副業です。

フリーランスが副業を始める際の注意点

副業は収入の安定化に大きく貢献しますが、始める際にはいくつか注意すべき点があります。本業とのバランスを保ち、トラブルを未然に防ぐためにも、以下のポイントを必ず確認しましょう。

注意点 具体的な内容と対策
本業との両立と時間管理

副業に熱中するあまり、フリーランスとしての本業(調剤業務など)のパフォーマンスが低下しないよう注意が必要です。無理のない範囲で受注し、スケジュール管理を徹底しましょう。特に単発・スポット案件が不規則に入る場合は、継続的な副業のタスク量に注意が必要です。

契約内容の確認

業務委託契約を結ぶ際は、契約書の内容を隅々まで確認しましょう。特に「業務の範囲」「報酬額と支払日」「成果物の著作権の帰属」「秘密保持義務」の項目は重要です。不明点があれば、契約前に必ずクライアントに確認してください。

確定申告と税務管理

副業による所得(収入から経費を引いた金額)が年間20万円を超えた場合、原則として確定申告が必要です。日頃から副業に関する収入と経費(PC購入費、書籍代、通信費など)の領収書や記録を整理しておくことが重要です。会計ソフトを利用すると管理がスムーズになります。

情報管理とコンプライアンス

薬剤師には守秘義務があります。本業や副業で得た患者情報や企業の機密情報を漏洩しないよう、情報管理を徹底してください。また、WebライティングやSNSでの情報発信では、薬機法、医療広告ガイドライン、景品表示法などの関連法規を遵守することが絶対条件です。

まとめ

フリーランス薬剤師は、高い専門性を活かし、自由な働き方と高収入を目指せる魅力的なキャリアです。高時給や柔軟な働き方が可能な一方、収入の不安定さや福利厚生がない点は理解が必要です。成功の鍵は、自身の経験を活かせる仕事を見つけ、確定申告などの自己管理を徹底することにあります。さらにWebライターなどの副業を組み合わせることで、より安定した収入基盤を築くことも可能です。本記事を参考に、ご自身の理想のキャリアプランを検討してみてください。

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