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学校薬剤師の仕事内容と給料事情、求められる必要なスキルも紹介

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学校薬剤師の仕事に興味がある方へ。本記事では、学校薬剤師の具体的な仕事内容から、気になる給料事情、必要なスキルまでを網羅的に解説します。学校薬剤師は非常勤での兼業が基本ですが、環境衛生管理や薬物乱用防止教育など、児童生徒の健康を守る重要な役割を担います。どうすればなれるのか、やりがいや大変なことまで、この記事を読めば学校薬剤師の全てがわかります。

学校薬剤師とは 児童生徒の健康を守る専門家

学校薬剤師とは、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校などの教育機関において、児童生徒が健康で安全な学校生活を送れるよう、薬学の専門的な知識を活かして学校保健活動をサポートする薬剤師のことです。学校保健安全法という法律に基づいて学校に置くことが定められており、学校医や学校歯科医と並んで「学校三師」と称される重要な役割を担っています。

主な業務は、調剤薬局や病院のように患者さんへ直接薬を渡したり服薬指導を行ったりすることではありません。学校全体の衛生環境の維持管理や、保健室で使われる医薬品の管理、薬の正しい使い方や薬物乱用防止に関する保健教育などを通じて、子どもたちの健康を支える専門家です。

学校保健安全法に基づく専門職

学校薬剤師の職務は、学校保健安全法第23条によって定められています。この法律では、大学以外のすべての学校に「学校医、学校歯科医及び学校薬剤師を置くものとする」と規定されており、学校運営に不可欠な専門職として位置づけられています。教育委員会から委嘱を受け、担当する学校の保健衛生活動に参画します。

子どもたちが学習や運動に集中できる快適な環境を確保し、健康課題に対して専門的な見地から助言を行うことで、学校全体の保健水準の向上に貢献することが期待されています。

病院や薬局の薬剤師との違い

同じ「薬剤師」という資格を持つ専門職ですが、その役割や業務内容は大きく異なります。病院薬剤師や薬局薬剤師が「個々の患者」の治療を目的として調剤や服薬指導を行うのに対し、学校薬剤師は「学校という集団」を対象に、病気の予防や健康の維持・増進を目的とした活動が中心となります。

具体的な違いを以下の表にまとめました。

職種 主な業務内容 主な対象 主な目的
学校薬剤師 学校環境衛生の検査・指導、医薬品管理、保健教育(薬物乱用防止など) 学校に通う児童・生徒、教職員、学校環境全体 健康の保持増進、疾病の予防、安全な学習環境の確保
病院薬剤師 入院・外来患者への調剤、注射薬の混合調製、服薬指導、医薬品情報管理 患者(入院・外来) 病気の治療、副作用のモニタリング
薬局薬剤師 処方箋に基づく調剤、服薬指導、一般用医薬品の販売、在宅医療への参画 地域の患者、住民 病気の治療、セルフメディケーションの支援

主な役割は「学校保健」のサポート

学校薬剤師の最も重要なミッションは、学校保健計画や学校安全計画の立案に参画し、その達成をサポートすることです。具体的には、後述する「学校環境衛生」「医薬品管理」「保健教育」の3つの柱を中心に活動します。

教室の明るさや空気の清浄度、プールの水質、給食施設の衛生状態などを定期的にチェックし、子どもたちが健康を害することなく過ごせる環境を守ります。また、保健室の薬が適切に管理されているかを確認したり、薬物乱用防止教室で講師を務めたりと、その活動は多岐にわたります。このように、児童生徒が直接目にしない部分も含めて、学校全体の健康と安全を支える縁の下の力持ちのような存在です。

学校薬剤師の具体的な仕事内容

学校薬剤師の仕事は、単に薬の管理をするだけではありません。学校保健安全法および同施行規則に基づき、児童生徒が健康で安全な学校生活を送れるよう、多岐にわたる専門的な業務を担います。その仕事内容は大きく「学校環境衛生に関する仕事」「医薬品の管理に関する仕事」「保健教育に関する仕事」、そして「学校保健委員会への参加」の4つに分類されます。ここでは、それぞれの具体的な業務内容を詳しく解説します。

学校環境衛生に関する仕事

学校薬剤師の最も代表的な業務が、学校環境衛生の維持管理です。児童生徒が1日の大半を過ごす学校の環境が、学習に適し、かつ健康的であるかを専門家の視点から定期的に検査・指導します。検査は「学校環境衛生基準」に定められた項目に沿って行われます。

教室の環境検査(照度や空気など)

児童生徒の学習効率や健康に直接影響を与える教室環境の検査は、非常に重要な業務です。専用の測定機器を用いて、教室内の明るさ(照度)や空気の状態などを客観的な数値で評価し、基準を満たしているかを確認します。もし基準を満たしていない場合は、学校側へ具体的な改善策を助言します。

主な教室の環境検査項目と目的

検査項目 主な検査内容・目的
照度・明るさ 机や黒板の明るさを測定します。不適切な明るさは、視力低下や学習意欲の減退につながるため、適切な照度を保つよう指導します。
空気(CO2濃度など) 教室内の二酸化炭素濃度や浮遊粉じん、温度、湿度などを測定します。特に二酸化炭素濃度が高いと、眠気や頭痛の原因となるため、換気の重要性を指導します。
騒音 授業の妨げになるような騒音がないか測定します。外部からの騒音や、校内の設備(空調など)から発生する音が対象です。

水道水やプールの水質検査

感染症予防の観点から、水に関する衛生管理も学校薬剤師の重要な役割です。特に多くの児童生徒が利用する水道水やプールは、定期的な水質検査が法律で義務付けられています。

水道水については、校内に設置された蛇口から採水し、色や濁り、残留塩素濃度などを検査します。安全な飲料水が供給されているかを確認し、貯水槽(受水槽)がある学校ではその管理状況もチェックします。

プールについては、シーズン前およびシーズン中に定期的な水質検査を実施します。遊離残留塩素濃度やpH値、一般細菌、大腸菌群などを検査し、生徒が安全にプールを利用できる環境を維持します。衛生基準を満たしていない場合は、プールの使用中止を含めた厳しい指導を行うこともあります。

給食施設の衛生管理

集団食中毒を未然に防ぐため、給食施設の衛生管理状況を厳しくチェックします。HACCP(ハサップ)の考え方に基づき、食材の受け入れから調理、配膳に至るまでの各工程で衛生上の問題がないかを確認します。

具体的には、厨房内の清掃状況、調理器具の洗浄・消毒方法、冷蔵庫・冷凍庫の温度管理、食品の保存状態、調理員の健康状態や身だしなみなどを点検し、改善が必要な点があれば指導・助言を行います。

医薬品の管理に関する仕事

薬剤師としての専門知識が最も活かされる分野の一つが、医薬品の管理です。学校における医薬品の適正な使用と管理体制の構築をサポートします。

保健室の医薬品の適切な管理と指導

学校の保健室には、ケガの手当てに使う消毒薬やガーゼ、絆創膏などの医薬品や医療機器が常備されています。学校薬剤師は、これらの医薬品が適切に保管・管理されているか定期的に点検します。

具体的には、医薬品の有効期限の確認、品質が劣化しないような保管状況(温度・湿度・遮光)のチェック、在庫の数量管理などを行います。また、養護教諭(保健室の先生)に対し、医薬品の正しい使い方や副作用、管理方法について専門的な情報提供やアドバイスを行うことも重要な役割です。これにより、いざという時に医薬品が安全かつ有効に使用できる体制を整えます。

ドーピング防止に関する指導

近年、特に運動部に所属する生徒を対象としたドーピング防止教育の重要性が高まっています。市販の風邪薬やサプリメントにも、意図せずドーピング禁止物質が含まれている場合があり、「うっかりドーピング」を防ぐための知識が必要です。

学校薬剤師は、薬の専門家として、ドーピングの危険性や禁止物質に関する正しい知識を生徒や指導者(顧問の先生)に伝えます。講習会などを通じて、薬を使用する際の注意点や、スポーツファーマシストなどの専門家へ相談する重要性を啓発します。

保健教育に関する仕事

専門知識を活かして、児童生徒に直接健康や薬に関する教育を行うのも学校薬剤師の仕事です。未来を担う子どもたちが、自らの健康を管理する能力を身につけるためのサポートをします。

薬物乱用防止教室の開催

学校薬剤師が行う保健教育の中で、最も代表的な活動が「薬物乱用防止教室」です。小学生から高校生まで、対象となる学年に合わせて、薬物の心身への悪影響や依存性の恐ろしさ、危険な誘いを断る勇気などについて講義を行います。

薬剤師という専門家から直接話を聞くことで、生徒たちは薬物の危険性をより深く理解し、乱用防止への意識を高めることができます。

健康相談やアレルギー疾患への対応

薬に関する生徒や教職員からの相談に応じたり、特定の健康課題について対応したりします。例えば、お薬手帳の活用法や、薬の正しい飲み方についてのアドバイスなどが挙げられます。

また、食物アレルギーなどによりアナフィラキシーショックを起こすリスクのある児童生徒のために、エピペン®(アドレナリン自己注射薬)の正しい使い方や管理方法について、教職員や本人、保護者を対象とした講習会を実施することもあります。緊急時に迅速かつ適切な対応ができるよう、学校全体の体制づくりを支援します。

学校保健委員会への参加

学校保健委員会は、学校における健康問題を協議し、学校保健活動の計画や推進を行うための重要な組織です。通常、学校長、教職員代表、PTA代表、そして学校医、学校歯科医、学校薬剤師といった専門家で構成されます。

学校薬剤師は、この委員会に専門家の一員として出席し、環境衛生検査の結果報告や、そこから見えてきた課題について報告します。さらに、感染症対策、シックハウス症候群の問題、熱中症対策など、学校全体の健康課題について薬剤師の専門的な見地から意見を述べ、改善策を提案する役割を担います。

気になる学校薬剤師の給料や年収事情

学校薬剤師の仕事に興味を持つ方が特に気になるのが、給料や年収といった収入面でしょう。一般的な薬剤師の働き方とは大きく異なるため、その報酬体系も特殊です。ここでは、学校薬剤師の給料事情について、働き方や具体的な報酬相場、兼業した場合の年収モデルを詳しく解説します。

非常勤が多く兼業が基本の働き方

学校薬剤師の最も大きな特徴は、その多くが常勤ではなく非常勤であるという点です。通常、地域の教育委員会から委嘱を受ける「特別職地方公務員」という身分になります。そのため、勤務は毎日ではなく、月に数回、あるいは年に数日程度、担当する学校へ出向いて職務を行うのが一般的です。

この働き方から、学校薬剤師の報酬だけで生計を立てることは現実的ではありません。したがって、ほとんどの学校薬剤師は、調剤薬局や病院、ドラッグストアなどに勤務する薬剤師が、自身の専門知識を地域貢献に活かす形で兼業しています。本業の合間に学校薬剤師としての活動を行うのが基本のスタイルとなります。

学校薬剤師の給料(報酬)の相場

学校薬剤師の収入は「給料」というよりも「報酬」や「手当」として支払われるケースがほとんどです。その金額は、各自治体の条例や教育委員会の規定によって定められており、地域や学校の規模(児童生徒数)によって異なります。一律の基準があるわけではありませんが、一般的な相場は以下のようになっています。

報酬形態 金額の目安 備考
年額 5万円~20万円程度 小規模な学校や担当業務が少ない場合に多い
月額 1万円~3万円程度 定期的な訪問や業務が設定されている場合
日当 1万円~2万円程度 学校保健委員会への出席や環境衛生検査の実施日に対して支払われる
時給換算 5,000円~10,000円程度 専門性の高い職務に対する報酬として高めに設定される傾向がある

上記はあくまで目安であり、公立学校か私立学校かによっても報酬体系は変わります。私立学校の場合は、学校独自の規定で報酬が定められるため、公立よりも高い報酬が設定されることもあります。正確な金額を知りたい場合は、地域の薬剤師会や教育委員会に問い合わせるのが確実です。報酬額そのものは高くありませんが、専門職としての社会貢献活動に対する対価と捉えている方が多いようです。

兼業した場合の年収モデル

学校薬剤師は兼業が基本となるため、年収は本業の収入に学校薬剤師としての報酬が上乗せされる形になります。具体的なイメージが湧きやすいように、いくつかの年収モデルを見てみましょう。

モデルケース1:調剤薬局で正社員として働く薬剤師の場合

収入内訳
本業(調剤薬局)の年収 約550万円
副業(学校薬剤師)の年間報酬 約12万円
合計年収 約562万円

このケースでは、本業の安定した収入を基盤としながら、学校薬剤師として年間10万円以上の追加収入を得ています。収入アップという側面もありますが、キャリアの幅を広げ、地域医療に貢献できるという付加価値も大きいでしょう。

モデルケース2:ドラッグストアでパートタイマーとして働く薬剤師の場合

収入内訳
本業(パート勤務)の年収 約280万円(時給2,500円・週22時間勤務で計算)
副業(学校薬剤師)の年間報酬 約8万円
合計年収 約288万円

パート勤務で自身のペースで働きながら、学校薬剤師を兼業するパターンです。柔軟な働き方を望む方にとって、本業に支障が出ない範囲で専門性を活かせる学校薬剤師は、やりがいとわずかな収入増を両立できる魅力的な選択肢となり得ます。

このように、学校薬剤師の報酬は年収を大きく押し上げるものではありませんが、本業に加えて専門知識を社会に還元し、プラスアルファの収入と貴重な経験を得られる点が大きなメリットと言えます。

学校薬剤師に求められる必要なスキルと資格

学校薬剤師は、児童生徒の健康と安全を守る重要な役割を担うため、専門的な資格と多様なスキルが求められます。ここでは、学校薬剤師として活躍するために不可欠な資格と、実務で必要となるスキルについて詳しく解説します。

必須となる薬剤師免許

学校薬剤師になるための絶対的な前提条件は、薬剤師国家試験に合格し、薬剤師免許を取得していることです。薬剤師法に基づくこの国家資格がなければ、学校薬剤師として教育委員会から委嘱されたり、業務を行ったりすることはできません。調剤薬局や病院で働く薬剤師と同様に、薬の専門家としての基盤が必須となります。

教職員や児童生徒と関わるコミュニケーション能力

学校という教育現場で活動する学校薬剤師には、専門知識を分かりやすく伝えるコミュニケーション能力が極めて重要です。対象者に合わせて柔軟に対応する力が求められます。

例えば、児童生徒に対しては、薬物乱用防止教室などで興味を引きつけ、理解を促すような話し方や工夫が必要です。専門用語を避け、身近な例え話を交えながら指導することで、健康への意識を高めることができます。

また、校長や養護教諭をはじめとする教職員との連携も欠かせません。環境衛生検査の結果報告や改善提案、保健室の医薬品管理に関する助言など、専門家としての見解を的確に伝え、円滑に業務を進めるための協調性が求められます。保護者からの健康相談に応じる際には、不安に寄り添い、信頼関係を築く傾聴力も大切になります。

幅広い薬学知識と衛生管理の知見

学校薬剤師の仕事は多岐にわたるため、調剤や服薬指導といった一般的な薬剤師業務に留まらない、幅広い知識と知見が必要です。特に「薬学」と「衛生管理」の2つの分野における深い専門性が求められます。

薬学知識としては、保健室に常備されている医薬品の適切な管理方法はもちろん、近年重要性が増しているドーピング防止教育に関する最新情報、薬物乱用の危険性、アレルギー疾患を持つ児童生徒への対応(エピペン®の管理・指導など)に関する知識が不可欠です。

衛生管理の分野では、学校環境衛生基準に基づいた専門的な知見が求められます。教室の照度や空気環境、水道水やプールの水質、給食施設の衛生状態などを検査・評価し、問題があれば具体的な改善策を指導する役割を担います。これらの業務を適切に遂行するためには、関連法規や基準値に関する正確な知識が必須です。

学校薬剤師に求められる専門知識・スキルの具体例

分野 具体的な知識・スキル例 関連する主な仕事内容
薬学関連 医薬品の適正使用・管理知識、薬物乱用防止に関する知識、ドーピング防止に関する最新知識、アレルギー(アナフィラキシー、エピペン®)に関する知識 保健室の医薬品管理、薬物乱用防止教室の開催、ドーピング防止指導、教職員・保護者への情報提供
衛生管理関連 学校環境衛生基準(照度、騒音、空気環境など)の知識、水質検査(残留塩素濃度など)の知識と技術、食品衛生(食中毒予防、HACCPの考え方)の知識、感染症対策に関する知識 教室等の環境衛生検査、プール水・水道水の水質検査、給食施設の衛生管理・指導、感染症予防対策の助言
コミュニケーション プレゼンテーション能力、指導力、傾聴力、連携・調整能力、分かりやすく説明する力 保健教育(授業)、学校保健委員会での発表、教職員との連携、児童生徒・保護者からの相談対応

学校薬剤師になるには どうすればなれるのか

学校薬剤師は、一般的な薬剤師の求人とは異なり、転職サイトやハローワークで常時募集されているわけではありません。多くの場合、特定のルートを通じて就任することになります。ここでは、学校薬剤師になるための具体的な方法を解説します。将来的に学校薬剤師として地域貢献したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

地域の薬剤師会を通じてなる方法

学校薬剤師になるための最も一般的で王道といえるルートが、所属する地域の薬剤師会から推薦・紹介してもらう方法です。多くの自治体では、教育委員会が地域の薬剤師会に学校薬剤師の推薦を依頼しており、薬剤師会がその窓口として機能しています。

このルートを目指す場合、まずは自分が活動したいエリアの薬剤師会に入会することが第一歩となります。入会後、学校薬剤師の活動に興味があることや、将来的に担当したいという意欲を薬剤師会の役員などに伝えておくことが重要です。また、薬剤師会が主催する学校薬剤師関連の研修会や勉強会へ積極的に参加することで、知識を深めるとともに、その熱意をアピールできます。

担当していた学校薬剤師の退任などで欠員が出た際に、こうした意欲のある会員の中から後任者として推薦されるケースが多くなっています。日頃から薬剤師会での活動に貢献し、他の会員や役員との良好な関係を築いておくことが、推薦につながる鍵となるでしょう。

教育委員会から委嘱されるケース

薬剤師会を通さず、市町村や都道府県の教育委員会から直接「委嘱(いしょく)」されるケースもあります。「委嘱」とは、特定の専門的な業務を外部の人に任せることを意味します。公立学校の設置者である教育委員会が、公募によって学校薬剤師を募集することがこれにあたります。

公募情報は、各自治体の教育委員会のウェブサイトや、市町村の広報誌などに掲載されることがあります。ただし、この形式での募集は欠員が出たタイミングに限られるため、頻度は決して多くありません。学校薬剤師を目指すのであれば、自分が活動したい地域の教育委員会のウェブサイトを定期的にチェックする習慣をつけておくとよいでしょう。

応募には、薬剤師免許はもちろん、地域によっては実務経験や研修の受講歴などが求められる場合もあります。募集要項をよく確認し、条件を満たしているか確認した上で応募する必要があります。

学校薬剤師の求人の探し方

これまで解説した方法を踏まえ、学校薬剤師の求人(担い手)の探し方をまとめます。複数の方法を並行して試すことで、チャンスを広げることができます。

探し方 具体的なアクション ポイント・注意点
地域の薬剤師会に相談する 地域の薬剤師会に入会し、学校薬剤師のポストに空きがないか問い合わせる。研修会などに参加し、意欲を伝える。 最も一般的な方法。情報収集や他の学校薬剤師との連携がしやすい。日頃からの関係構築が重要になる。
教育委員会のウェブサイトを確認する 市区町村や都道府県の教育委員会のウェブサイトで「学校薬剤師」「募集」「公募」などのキーワードで定期的に確認する。 公募の頻度は少ないが、薬剤師会に未加入でも応募できる可能性がある。見逃さないよう定期的なチェックが必要。
知人や同僚からの紹介 現役の学校薬剤師や、地域の医療・教育関係者とのつながりから情報を得る。 薬剤師同士のネットワークが役立つことがある。退任予定の学校薬剤師から後任として直接打診されるケースも稀にある。
薬剤師専門の求人サイト ごく稀に掲載されることがあるため、参考程度に確認する。 掲載されることは非常に稀なため、メインの探し方としては推奨されない。あくまで補助的な手段と捉える。

学校薬剤師は、地域の子どもたちの健康を支える非常に重要な役割を担います。そのため、単に薬剤師免許を持っているだけでなく、教育現場への理解や貢献意欲が重視される傾向にあります。これらの方法を通じて、積極的に情報を収集し、熱意を伝えていくことが就任への道を開くでしょう。

学校薬剤師のやりがいと大変なこと

学校薬剤師という仕事は、薬局や病院に勤務する薬剤師とは異なる、特有の魅力と困難さが存在します。子どもたちの健康と安全を支えるという大きな責任を伴いますが、その分、他では得られないやりがいを感じられる場面も数多くあります。ここでは、学校薬剤師として働く上でのメリット・やりがいと、デメリット・大変さについて具体的に掘り下げていきます。この仕事への適性を見極めるための参考にしてください。

学校薬剤師として働くメリットとやりがい

学校薬剤師の最大の魅力は、未来を担う子どもたちの健康的な成長を直接サポートできる点にあります。また、働き方の面でもメリットがあり、本業との両立を目指す薬剤師にとっても魅力的な選択肢です。主なメリットとやりがいを以下にまとめました。

やりがい・メリットの側面 具体的な内容
子どもたちの成長への貢献

薬物乱用防止教室や健康教育を通じて、児童生徒が薬の正しい知識や健康的な生活習慣を身につけていく姿を間近で見守ることができます。「先生の話、よく分かりました」「薬のことが怖かったけど、正しく使えばいいと知りました」といった子どもたちからの直接的な反応や感謝の言葉は、大きな喜びとモチベーションにつながります。

地域社会への貢献感

学校というコミュニティの安全・安心を守る重要な役割を担い、地域医療の一員として貢献しているという強い実感を得られます。保護者や地域住民からの信頼も厚く、専門家として頼りにされる存在であることに誇りを感じられるでしょう。

幅広い専門性の発揮

調剤や服薬指導だけでなく、環境衛生(教室の照度や空気、飲料水の水質検査)、食品衛生(給食施設の衛生管理)、ドーピング防止教育など、薬剤師が持つ幅広い知識とスキルを多角的に活かせる点が魅力です。検査結果から問題を特定し、改善策を提案して学校環境が良くなった時には、大きな達成感を得られます。

柔軟な働き方とワークライフバランス

非常勤での委嘱が基本のため、薬局や病院などでの本業と兼業しやすいのが大きなメリットです。年間数回から月1回程度の勤務が多く、自分のスケジュールに合わせて調整しやすいため、ワークライフバランスを保ちながら専門性を活かした活動ができます。

教育現場への関与

教職員と密に連携し、「チーム学校」の一員として学校運営に関わることができます。医療の専門家という視点から教育現場に貢献できることは、薬剤師としてのキャリアに新たな視点と深みを与えてくれます。

学校薬剤師ならではのデメリットと大変さ

やりがいが大きい一方で、学校薬剤師には特有の難しさや大変さも存在します。報酬面や業務上のプレッシャーなど、この仕事を目指す上で事前に理解しておくべき点について見ていきましょう。

デメリット・大変さの側面 具体的な内容
報酬だけでは生計が困難

学校薬剤師の報酬は、公立学校の場合、地方公務員の非常勤特別職の報酬として条例で定められており、決して高くはありません。年間の報酬額も限られているため、この仕事だけで生計を立てることは困難です。あくまで薬剤師としての社会貢献活動、あるいは兼業が前提の働き方と認識しておく必要があります。

責任の重さとプレッシャー

子どもたちの健康と安全を預かるという責任は非常に重いものです。特にプールの水質検査や給食施設の衛生管理、保健室の医薬品管理など、一つのミスが大きな事故につながりかねない業務には、常に大きなプレッシャーが伴います。

多様な関係者との調整

児童生徒や教職員だけでなく、保護者、教育委員会、地域の保健所など、多くの立場の人々と円滑な関係を築く必要があります。専門的な内容を誰にでも分かりやすく説明するコミュニケーション能力や、意見が対立した際の調整能力が求められる場面も少なくありません。

専門家としての孤独感

ほとんどの学校では、薬剤師は一人だけの配置です。そのため、専門的な判断に迷った際に気軽に相談できる同僚が校内におらず、孤独を感じることがあります。地域の薬剤師会などで情報交換の場はありますが、日々の業務における判断は基本的に自分一人で行う覚悟が必要です。

業務の準備にかかる負担

薬物乱用防止教室のような授業を行う際には、指導案の作成、スライドや配布資料の準備など、勤務時間外での作業が多く発生します。子どもたちに興味を持ってもらい、かつ正確な情報を伝えるためには、入念な準備と自己研鑽が不可欠であり、そのための時間的・精神的な負担は決して小さくありません。

まとめ

学校薬剤師は、学校の環境衛生管理や医薬品の管理、薬物乱用防止教室の開催などを通じて、児童生徒の健康と安全を守る重要な役割を担います。働き方は非常勤が基本で、調剤薬局などとの兼業が一般的です。そのため、高収入を得るというよりは、薬剤師としての専門知識を活かして次世代の育成に貢献することに大きなやりがいを感じる方に向いています。なるには地域の薬剤師会からの推薦などが主なため、興味がある方は相談してみましょう。

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